2016年7月、東京駅丸の内地下一階にグランドオープンした「グランスタ丸の内」には、飲食のみならず東京駅限定商品の雑貨など高感度ショップが揃い、日本人・外国人を問わず常に多くの人が往来します。今回はそんな高感度ショップの1店、丸の内発の『MCSマルノウチコスメティクスセレクション』を取材。スキンケアやメイクアイテムなど国内メーカーを中心に選び抜かれたコスメブランドを取り揃え、コンシェルジュがブランドの枠を超えて案内してくれる同店では、昨年10月からポケトークを導入し、活用されているとのこと。詳しいエピソードを伺ってきました。
オープン当初(2016年7月)からですね。一日に10人以上は外国人のお客さまが立ち寄られます。中国の方が多いですが、英語圏の方もいらっしゃいます。
スキンケア商品を探しておられる方が多いですね。化粧水、美容液、アイクリーム、日焼け止めなどは、メイド・イン・ジャパンへの信頼が高いようです。
スマートフォンなどで画像を表示されて、「これがほしい」とメーカーや商品を指定してこられる方も多いんです。なかには、奥さまやお友だちに頼まれたと買いにこられる男性の方も少なくないんですよ。ただ、やはりおひとりでは入りづらいのか、2名以上のグループでいらっしゃいますね。
ポケトークを導入するまでは、「ありません、ごめんなさい」で終わりだったんです。日本人のお客さまになら同じようなほかのアイテムをご提案することもできるのですが、言葉ができないので…。
スタッフの中には英語ができる者もいますが、必ずしもその者が店頭にいるわけではなく…。各メーカーが英語や中国語のパンフレットを用意しているので、それをお見せしながら片言で「ドライスキン」「オイリー」などと説明したり、あとはジェスチャーで何とか意思疎通を図っていました。
ほかに、以前在籍していたスタッフが中国の方用に色やお肌の状態などに対応した指差しシートを作ってくれていたのですが、細かいところまで通じているかどうかはわかりませんでした。
そうなんです。わたしたちが良いと思う色味をご提案しても、お客さまの趣味には合わなかったり。同じ国同士ならなんとなくわかる微妙な色彩感覚がずれてしまい、ご希望の色味が探しきれないということがあります。例えば「もっと赤く」「もっとオレンジの強いもの」と言われた時に、お好みに合わず「ノー」となってしまう事もあったり。
基礎化粧品のニュアンスも難しいですね。「わたしには何が合うの?」と聞かれて、店頭のお肌の水分チェッカーで水分量などを測ってみて、その数値もお見せしながらご提案してみるのですが、細かな点まで伝えられずご納得いただけないということがありました。
外国のお客さまが来店されたら、ポケトークを取り出して積極的にこちらから話しかけるようにしています。まず、「チャイニーズ? イングリッシュ?」とお声掛けして、お答えになった言語ですぐにポケトークで会話を始めるんです。困った時というより、接客の最初からポケトークを使うようになって、とてもスムーズにコミュニケーションが取れるようになりました。
レジ横です。もう手離せない状態なので、誰でも自由に使えるようにしています。
ポケトークがある安心感で、接客アプローチも積極的にできていますね。
その国の言語を選んで、ボタンを押して、話すだけで、難しいことは何もありませんね。それだけの操作で言いたいことが伝えられ、何より、お客さまの細かなご希望が聞き取れるようになりました! お客さまがご自身のスマートフォンで翻訳アプリを使おうとされる場合も多いのですが、ポケトークを使ってみせると「こっちのほうがいいわ」となりますね。特に、カップルやグループでご来店された方の場合は、ご自分たちで手に取って面白がって盛り上がっておられます。
話している間はボタンを押したままにしておくという一点さえわかれば、あとは問題ありません。以前はタブレット端末でインターネットの翻訳機能も使っていたのですが、サイズ的に大げさで少しお客さまに警戒心も与えていたかも知れません。ポケトークは気軽さという点でも、コミュニケーションが円滑になりますね。
朝に使うのか夜に使うのかを伺うところから始めて、こちらから使う順番と使う量、その効果をご説明しています。基礎化粧品はシリーズになっている場合も多いので、ポケトークで詳しくご説明し、しっかりご質問にお答えすれば、メイド・イン・ジャパンの品質にご納得をいただいて「それじゃシリーズぜんぶ買うわ」と言っていただけるケースも出てきました。
ファンデーションの場合も、お好みの色、マットかナチュラルか仕上がりのお好みを伺うところから始められるようになりました。国が違うとベースの色も違いますから、一つ一つお試ししながら、実際にご自分のお顔を鏡で見て確かめていただくという細やかな接客ができています。例えば欧米(白人)の方なら、日本製でもインターナショナル展開しているブランドの明るい色がありますよというようなご提案ができるようになりました。
「何をお探しですか?」は毎回使うフレーズなんですが、やはりポケトークを頼ってしまいます。
コミュニケーションのきっかけづくりになるので、もう全面的にポケトークを使います。ちなみに履歴もさかのぼれるのですが、メイクのお話は人それぞれお悩みが違うのであまり使っていません。履歴を見るより、目の前のお客さまに合わせてお話しするようにしています。
以前に比べ、断然コミュニケーションが取れるようになったことです。例えば、「ブランドは決めているのだけれど、その中でアイクリームはどれがいい?」と聞かれたことがありました。中国の女性の方でしたが、中国の方は美白にとても興味があるので、「こちらはこういう成分が入っていて美白効果が高いです」と商品説明を詳しくしてみました。でも、その商品は少し高価だったのでご購入いただけなかったんです。そこで別の商品を「値段は下がりますがこういう効果はあります」とご提案をしてみたら、お買い上げにつながったんです。以前なら「高いからいらないわ」と言われて終わっていたと思います。
わたしはポルトガルの方でした。何かを熱心に探しておられるので、ポケトークで話しかけてみたら「おお~!」と大変に喜んでいただいて。いろいろとご要望を伺い、日焼け止めをお買い上げいただくことができました。英語も通じなかったので以前なら難しかったと思いますが、望んでおられたものをお買い上げいただけたことは何よりうれしかったです。
日本語には「雨」と「アメ」など同じ発音でも違う言葉がたくさんありますが、お肌の「感触」も「間食」と区別ができるよう、美容モードというように切り替えできたらいいですね。
外国の方に、日本にこういう便利な翻訳機があるということは広がってきているのだと思いますが、どのお店にあるかはわからないわけですよね。ポケトーク自体の機能のことではないんですが、ポケトークのマークを入れた地図が配布されたりするといいなと思います。ポケトークがあるお店がわかれば、外国のお客さまはもっとお買い物体験が楽しくなるのではないかと思います。
●よく使うフレーズ
「何をお探しですか?」
英語:What are you looking for
中国語:您在找什么?
「お探しのブランドは何ですか?」
英語:What brand are you looking for
中国語:您寻找的品牌是什么?
「これはメイド・イン・ジャパンです」
英語:This is made in japan
中国語:这是日本制造的。
「何かお肌に関してお悩みはありますでしょうか?」
英語:Do you have any problems with your skin
中国語:您对皮肤有什么烦恼吗?
「商品を試してみますか?」
英語:Do you want to try the product
中国語:要试试商品吗?
「こちらの商品は、どなたがお使いになりますか?」
英語:Who will use this item?
中国語:这款商品是谁使用的?