空港特有の免税制度や機内持ち込み品の説明など 細部を素早く正確に伝えたい会話にポケトークが活きる

羽田空港、成田空港、関西空港と日本を代表する空港で、お土産、服飾雑貨といったショップやブランドブティックなど幅広いジャンルの店舗を運営受託する株式会社羽田エアポートエンタープライズ。日々多くの外国人客が、空港限定商品や日本らしいお土産を求めて来店します。その外国人客の国籍は幅広く、英語、中国語、韓国語といった主要言語以外で接客しなければならない場面もあります。そこでポケトーク発売直後、同社では74店舗に80台を同時導入されました(7月17日現在73店舗86台)。外国人客に人気の羽田空港国際線旅客ターミナル4階「江戸小路」の2店舗での使用実績を伺いました。

株式会社羽田エアポートエンタープライズ ロビーエリアEDO食賓館 町田夏芽さん  株式会社羽田エアポートエンタープライズ ロビーエリアEDO食賓館 渡邊瞳さん
(左から) 株式会社羽田エアポートエンタープライズ ロビーエリアEDO食賓館 町田夏芽さん  株式会社羽田エアポートエンタープライズ ロビーエリアEDO食賓館 渡邊瞳さん
EDO食賓館
株式会社羽田エアポートエンタープライズ ロビーエリアEDO食賓館 町田夏芽さん

消費税免税制度の導入から来店数は増加。人気ブロガーのSNS投稿からのヒット商品など、外国人客特有の売れ筋も。

外国人客はいつごろから増えましたか? また、どの言語をよく使いますか?

わたしが就職する前ですが、2014年10月に消費税免税制度が導入されてから、来店数や売上が増加したと聞いています。中国、韓国、タイ、インドネシアなど来店の約4~6割が外国人のお客さまで、よく使う言語は英語、中国語、韓国語ですね。

ポケトーク導入以前の外国人客の接客は、どのようにされていましたか?

ポケトーク導入以前の外国人客の接客は、どのようにされていましたか?

わたし自身は英語が話せるので、外国人のお客さまにはまず英語で応対し、通じればそのまま英語で接客します。でも、英語が話せない中国、タイ、インドネシアなどのお客さまには、会社で作成した指さしシートを活用していました。現在は、英語の次に使用頻度の高い中国語を会社の研修制度を活用して勉強中で、中国語の準4級も取得していますが、まだ接客に使えるほどではないです。指さしシートは、英語、中国語、韓国語、タイ語、ベトナム語の5ヵ国語があり、そちらの国の方々にはおおよそは対応できていたのですが、シートは複数ページあるので探すのに手間取ってしまい、急いでいるお客様への対応はなかなか難しかったです。指さしシートにはないフランス語やスペイン語など、ヨーロッパのお客さまにはジェスチャーを交えてなんとか対応している状況でしたね。

どんな目的で来店されるお客さまが多いですか?

どんな目的で来店されるお客さまが多いですか?

日本ご出発の前に最後のお買い物をなさる方と、日本ご到着後に4階に上がってこられて、日本のお友だちやご家族への手土産をお買い求めの方、どちらも来られます。空港限定の商品もよくご存じで、スマートフォンなどに画像を表示され「これは買えますか?」とよく質問されます。

台湾の人気ブロガーがSNSに投稿したことから、人気が出た商品は、お一人で20個ほど買っていかれる方もいらっしゃいます。外国のお客さまは何を買うか決まっている方が多いですね。「これを買ってきて」とお友だちから指定があるようで、何枚も画像を順番に表示しながら、大量にお買い求めになります。

ポケトーク導入前に、お客さまに聞かれて困ったこと、苦労されたことはありますか?

日本茶の違いについて質問され、ご説明に苦労しました。たくさん種類がある中で、どれが飲みやすく、どれが苦いか……日本語でも説明が難しいのに、英語となると簡単には通じません。また、外国人にも有名な宇治の抹茶、京都のお茶がいいと、産地を気にされる方や、日本の回転すし店で飲んだ粉末のお茶がほしいという方もいらっしゃったり。当然、指さしシートにはそこまでのフレーズはないので、ボディランゲージと単語でお伝えするしかありませんでした。せっかく日本の文化を気に入っていただけたのに、ご満足いただける説明ができなかった時は残念でした。

ポケトークで正確な金額や手続きが説明できるので、 お客さまにモヤモヤした気持ちを残さない。

ポケトークがあって良かった、というエピソードを教えてください。

ポケトークがあって良かった、というエピソードを教えてください。

わたしは専門学校で英語と韓国語を学びましたが、中国語は苦手なんです。特に中国語の数字は難しくて、免税に関するご説明にはいつも苦労していました。あるお客さまのケースでは、免税にするには少し総額が足りなかったので「総額5400円から免税になりますが買い足されますか?」とポケトークを使ってお伝えしてみたところ、「それなら足りない分を買い足すわ!」と、ご納得の上で追加のお買い物を楽しんでいただくことができました。正確な数字をお伝えできて、本当にポケトークがあって良かったと思いました。

ポケトークがあって良かった、というエピソードを教えてください。

わたしの場合は、東南アジアからと思われるご年配のご婦人でした。英語でのやりとりが難しかったので、「ポケトークの出番だ!」とパスポートで国籍をご確認させていただき、こちらでポケトークの言語を選んで使い方をジェスチャーで示しました。するとお困りごとを吹き込んでいただくことができたんです。その方も総額がいくらから免税になるのかをお尋ねで、「免税は5400円からです。総額を超えているので手続きできますよ」とポケトークを通してお伝えできました。ご自分の言いたいことがわたしに伝わったとわかり、とても喜ばれたのが印象的でした。ポケトーク導入以前は、お買い物総額が5400円に届かないお客さまに対し、そのことをお伝えしようにもなかなか通じず、結局免税にできないまま帰られる方もいらっしゃいました。なぜ免税できなかったのか、モヤモヤしたお気持ちのままになってしまうのが心苦しかったので、ポケトークで会話でき大変助かっています。ほかにも商品の賞味期限のご説明や、空港ならではですが液体物や重量など手荷物の持ち込みについての注意説明では助かっています。

逆に、ポケトークが使えなかったケースはありましたか?

たとえば、「おまんじゅう」を中国語で翻訳できなかったことがありました。「お」を抜かして「まんじゅう」と吹き込むと正確に翻訳できました。このような丁寧語を翻訳しづらい傾向があるように思いますが、こちらの慣れで対応できると思います。お客さまの知りたいことが伝われば問題ないので、いまは吹き込む際は丁寧語を使わないようにしています。

よく使うフレーズ

「液体物は機内に持ち込めません」
英語:Fluid cannot be brought into the cabin
中国語:液体不能带入机内。

「漬物は液体物です」
英語:Pickles are liquid
中国語:腌菜是液体。

「チョコレートに保冷剤を付けますか?」
英語:Would you like to add a refrigerant to the chocolate?
中国語:给巧克力加保冷剂吗?

お客さまによく聞かれるフレーズ

「免税で支払うことはできますか?」
英語:Can I pay with tax exemption?
中国語:可以免税吗?

「これを持ち込み手荷物として飛行機に持ち込むことはできますか」
英語:Can I bring this as carry-on baggage onto the airplane?
中国語:这个东西可以带到飞机上吗?

お客さまがお持ちの翻訳機より優秀なポケトーク。 「これはいい!」と喜んで使ってもらえることがうれしい。

ポケトークの性能や使い勝手は、ほかの翻訳機と比べていかがですか?

韓国のお客さまは、ご自分のスマートフォンの翻訳アプリを使われる方が多いんです。日本語に翻訳した文章を見せてくださるのですが、その文章が支離滅裂でご要望がわからないことが多くて。そんな時はポケトークを出して「何をお探しですか?」などと返してと会話を始めると、お客さまもポケトークの性能に触れて「こっちのほうがいい!」とご自分のスマートフォンは仕舞われて、楽しそうにポケトークに話しかけられますね。わたしたちスタッフとしても、話すだけで翻訳が正確にできて、本当に会話がスムーズに進むという実感があります。

なにかポケトークへの改善希望はありますか?

ご年配のお客さまが見づらそうにされることが、何度かありました。持ち運べる手のひらサイズはこのままで、文章の表示画面がもう少し大きくなると良いかなと思います。

多くの方がスマートフォンの操作に慣れているので、タッチパネルのほうが使いやすいかなと思います。

[導入担当者さまの声]
スタッフの語学スキルを補助的にサポートする目的で導入。
ポケトークはスタッフの自主学習にも使えて活躍の場が広く、
想像していた以上に店舗で活用されていて大変良かった。

株式会社羽田エアポートエンタープライズ 営業部 営業統括課 永谷明優さん

当社では、地道な基礎学習による語学能力向上を基本とし、英語、中国語、外国人スタッフ向けの日本語と、主に3つの語学研修を実施してきました。店舗スタッフからの声を、講師にフィードバックし研修内容を充実させるなどの工夫をしてきましたが、よりスムーズな接客のためには、翻訳機の技術を補助的に活用したいとも考え始めていました。
そんな時、日本経済新聞の記事でポケトークを知り、「言語数」「すでに市販されている」「使い方が簡単」という優位性から、さっそく羽田の3店舗で2週間ほどデモ機を使用してみることにしました。すると、「簡単で使い勝手が良い」「本格的に導入してほしい」という声が店舗担当より挙がり、2018年3月25日より74店舗に80台を導入。5月上旬に6台追加し、7月17日現在で73店舗に86台を導入しています。
スタッフからは好評で、「商品説明や販売以外の場面でも、お客さまとのコミュニケーションに活用できる」、「空いた時間に自己学習に使っている」など、導入側が想定した以上の使い方をしてもらえていて、大変良かったと思います。また、ポケトークがあると、外国語への恐怖心がなくなるのというのがなによりですね。
今後は、現在国内線専用である第2旅客ターミナルの店舗にもポケトークの導入数を増やしていこうと考えています。実は2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて第2旅客ターミナルからも国際線が発着する予定で、外国人は確実に増えると見込んでいます。

※取材日時点では、羽田エアポートエンタープライズ様では「POCKETALK(ポケトーク)」初代モデルをご利用頂いています。2018年7月に発表した新製品、「POCKETALK(ポケトーク) W」では本体サイズはそのままに画面は3倍以上大きくなり、タッチパネルを採用、通信は4Gに対応(注)し、翻訳速度も向上しました。

注 グローバル通信(2年)付きの場合