ポケトーク導入事例:中央区教育委員会様 (取材場所:中央区立晴海西小学校)
〜 新設校が挑む、『誰も取り残さない教育』 〜
近年、外国籍の児童生徒の増加に伴い、教育現場における「多言語対応」が急務となりつつあります。こうした状況を先駆けて経験している、東京都中央区教育委員会では、外国籍児童生徒の学習支援と教員の負担軽減を目的に「ポケトーク」を導入しました。今回は、教育委員会の久間倉様と、実際に教育現場でポケトークを活用されている晴海西小学校の2名の先生に、導入の背景やリアルなエピソードを詳しくお伺いしました。
晴海西小学校は2024年4月に開校し、全生徒の1割近くが外国籍です。

【中央区教育委員会事務局 久間倉様へのインタビュー】
Q. ポケトーク導入前、学校現場ではどのような課題を感じていましたか?
久間倉様: 中央区は外国籍の児童生徒がかなり多い状況にあったのですが、これまで十分な対策ができていないというのが正直なところでした。教員の負担を軽減すること、教員に私用の携帯を利用させないこと、そして何より児童生徒の助けとなることを目的に、ポケトークの導入を検討し始めました。
Q. 中央区ならではの背景もあったのでしょうか?
久間倉様: はい。まさにこの晴海周辺が分かりやすいのですが、令和6年に街開きが行われて新しいマンションがどんどん建っています。それに伴い、多様な国籍の方が新しく移り住んでいらっしゃいます。他の自治体でも外国籍の方の転入が増加傾向にあると思いますが、中央区では既に、多言語対応が大きな課題であると捉えておりました。
Q. 導入の検討時期と、ポケトークを選ばれた決め手を教えてください。
久間倉様: 令和5年度頃から学校現場の意見があり、検討を進めておりました。令和6年度には新しい小学校と中学校が開校し、外国籍児童生徒がさらに増えたので、ポケトークを整備する運びとなりました。もちろん他の選択肢もありましたが、ポケトークは最も知名度が高く、教育現場での導入事例も豊富でした。実際に使ってみると対応言語も多く、操作が直感的だったため、ポケトークを選びました。

Q. 現在の配備状況はいかがですか?
久間倉様: 学校ごとに日本語が全く話せない児童生徒がどの程度いるのかを想定し、それに合わせて配備台数を定めております。実際の割り振りや運用は学校側にお任せしています。晴海西小学校では、外国籍の転入生も非常に多いので、継続的に使用されています。
Q. 委員会として、ポケトーク導入のメリットをどのように感じていますか?
久間倉様:最大のメリットは、児童生徒と教員のコミュニケーション、児童生徒同士のコミュニケーションが活発になることです。結果として、授業の理解も深まると考えています。さらに、委員会として推進している「教員の働き方改革」の観点でも、教員の負担軽減に繋がっているのが良い点です。先生にしかできない業務はたくさんありますので、効率化や負担軽減できる部分はどんどんツールを使っていくべきだと考えており、ポケトーク導入を実現できたことは非常に良かったと思っています。
Q. 今後の展望や、ポケトークへのご要望があればお聞かせください。
久間倉様: 実際に授業の様子を見て感じるのは、通訳機ポケトークが得意とする1対1の会話だけではなく、先生1人が多数の生徒に同時に伝えられる、授業全体で使えるようなシステムも必要だという点です。
【晴海西小学校 先生方へのインタビュー】(お二方まとめて実施)
Q. ポケトークの活用の状況や具体例、感じられる変化について教えてください。
A: ポケトークを必要とする児童が自分のクラスに在籍しており、毎日、ほぼ毎授業で活用しています。使い始めて1年近く経ちますが、今ではなくてはならない存在になっています。
すぐに翻訳して伝えることができるので、意思疎通が図れて非常に便利です。外国人児童が取り残されないように、日本語で皆に説明した後、外国人児童の側へ行って、要点をポケトークで説明しています。特に国語の授業などは、ジェスチャーだけではなかなか伝えづらいニュアンスが多いので、ポケトークでちゃんと伝えられるのが良いですね。使い続けるうちに、今では子供の方から私に話しかけてきて、私が持っているポケトークを使ってやり取りをするという「慣れ」が出てきました。
児童同士のコミュニケーションにも変化が出ています。グループ活動の際、児童が「先生、貸してください」と言って、自分たちでポケトークを持ってやり取りをする姿が見られるのです。たまに、言葉遊びで使われることもありますが、多くの児童はしっかりと活動の意図を理解して、コミュニケーションを取るために、自主的にポケトークを使っています。
授業でポケトークを使用する様子。課題が上手くできた場合、褒める時にも使用されています。
異なるクラスを担当する、2名の先生方にお話を伺いました。
Q. ポケトークが「あってよかった」と感じたエピソードはありますか?
児童同士のトラブルが起きた際に、とても助かりました。ポケトークを使って「何が嫌だったの?」「どうしてそうなったの?」と詳しくやり取りをすることができます。
日常会話であれば、母国語を話せるお友達に通訳してもらえば済むこともあります。しかし、自分が傷ついたことや、大人にだけ伝えたい繊細な思いについては、お友達を介するわけにはいきません。ポケトークがあったおかげで、本人の思いをしっかりと受け止め、解決の方向へ向かって寄り添ってあげることができるようになりました。勉強面のサポートだけでなく、心の面のケアにも非常に役立っています。
外国籍の保護者の方との面談などでも活躍しています。細かい連絡や説明を正確に行うことができるため、お互いに安心感を持てています。
Q. 授業の中で使うにあたっての課題や、今後の要望はありますか?
授業中に1対1の対応をしていると、時間が取られがちです。ポンと置いておくだけで、ボタンを触らずに双方向の翻訳ができる機能があると、会話がよりスムーズになると思います(ポケトークforスクール をこうした双方向の会話に活用することもできます)。
Q. ポケトークの導入を検討されている教育機関の方へメッセージをお願いします。
授業についていけないと、理解しようとする意欲も落ちてしまうという課題があります。まずは教員の母国語でのサポートによって、授業に参加できる状態、教員やお友達とのコミュニケーションを取れる状態を作ることが大事です。とても簡単に使えて役立つポケトークは、絶対あった方が良いです。
例えば、「今、みんなと一緒にこれをやろうね」とその場で伝えられることは非常に有効です。児童が困った時に、ちゃんと会話できる環境作りにも活かせますし、勉強の場に限らず、友達同士のコミュニティの中で意思疎通をするために、とても有効だと感じています。
2026/03/27公開