導入前の課題
外国人技能実習生の受け入れから企業への紹介までをトータルで支援するASA外国人研修センターでは、日本語教育に加え、日本の生活習慣や就業に必要な専門知識を指導しています。
しかし、技能実習生の日本語能力には個人差があり、研修内容を十分に理解させることが大きな課題となっていました。
この度の導入を決定されたセンター長 二ノ宮様と、研修を受けた技能実習生の皆様に、AI同時通訳「Sentio(旧 ポケトーク ライブ通訳)」の導入効果と背景について、お話を伺いました。
導入の背景を教えてください
二ノ宮様: 技能実習生が来日の前に、日本語をN4レベルまで勉強している人が多いですが、同じN4でも理解度のばらつきがあります。まだ日本語の理解能力が足りない人が多いです。
労働に関する法律といった専門性の高い内容になると専門用語がどうしても出ますので、研修内容を理解できず、研修中学習意欲の低下が目立っていました。中には、授業中にぼーっとしたり、ノートに落書きをしたり、寝てしまう実習生もいました。
また、日本語が苦手な実習生が複数いる場合、通訳者の手配が必要になりますが、コストが高い上、特にマイナー言語の通訳者を見つけるのは困難です。1つの教室で多言語に対応した研修を効率的に実施できる方法を模索していました。
「Sentio(センティオ)」を選んだ決め手は何でしたか
二ノ宮様: 多言語を一度に通訳できるという点が決め手でした。
翻訳結果をそれぞれの実習生のタブレットにリアルタイムで表示できるため、多言語の研修を1つの教室で効率的に行えると考えました。
通訳者を呼ぶ場合、費用が高いですし、インドネシア語など、なかなか通訳者が見つからない言語もあります。非現実的だった多言語同時研修が、「Sentio」で実現できました。
導入前後どのような変化が見られましたか
「Sentio」の導入後、ミャンマー、ネパール、インドネシアといった多言語を話す実習生が参加する研修で利用しました。
二ノ宮様: 教科書に載っていない口頭での補足説明にも、熱心に耳を傾ける実習生が増えました。導入前に比べて食いつきが格段に良くなり、「おかげで理解しやすくなった」という声も多数上がっています。
たまたま個別のタブレット画面の通訳結果が消えたときがありましたが、実習生が手を上げて「先生、(画面が)止まりました」とアピールしてきました。全員が真剣に通訳結果を見ている証拠ですね。
また、入管への報告に必要な定期面談(3ヶ月に一度)でも効果を発揮しました。
ネパール語での面談に利用したところ、質問の意図をちゃんと理解できるようになったことで、より踏み込んだ質疑応答が可能になり、コミュニケーションの質が飛躍的に向上しました。
特に、受け入れ企業や団体の中には、劣悪な環境で実習生を働かせているケースもあるため、自身の身を守るための知識を確実に伝えることが重要だと思います。
研修で話した内容や動画で見た事例を、彼らにしっかり覚えてもらうためにも、「Sentio」は欠かせないツールになりました。
利用状況と今後の展望
【利用方法】
講師がパソコンで「Sentio」を起動し、翻訳言語を設定します。
共有QRコードを実習生それぞれのタブレットで読み取ることで、通訳結果をリアルタイムで共有します。
講師はBluetoothヘッドセットを使用し、クリアな音声をマイクで拾います。
【実習生の声】
「研修前に、日本語を理解できるか不安だった」という実習生も、「Sentio」の通訳結果を見ながら受講することで、理解度が大幅に向上したと回答しています。中には「60%から90%に上がった」という回答もありました。
【改善点・ご要望】
音声認識の精度向上:専門用語や固有名詞の認識精度をさらに高めてほしい
ASA外国人研修センターでは、「Sentio」のさらなる活用を通じて、技能実習生が安心して学習できる環境を整備し、より質の高い支援を提供していく方針です。