宿泊施設における翻訳機は“おもてなし”の一つの形。 団体客をスムーズに誘導する場面にも欠かせない。

ポケトーク(初代) 導入レポート かんぽの宿 熱海様 の場合

(右から)日本郵政 宿泊事業部 営業企画推進担当 マネジャー 坂本英樹さん、かんぽの宿 熱海 支配人 島 寿志さん、同予約担当 井上寛子さん、同営業担当 里吉紀宏さん
(右から)日本郵政 宿泊事業部 営業企画推進担当 マネジャー 坂本英樹さん、かんぽの宿 熱海 支配人 島 寿志さん、同予約担当 井上寛子さん、同営業担当 里吉紀宏さん

古くから親しまれる都心に近い温泉地の熱海。近年その良さが再認識され、ますますその人気が高まっています。日本郵政が運営している『かんぽの宿熱海』は、そんな熱海の高台に本館・別館を構える宿泊施設。相模湾や熱海市街を見晴らす絶景に加え、温泉や日本料理をはじめとした多彩な食事が評判で、数年前からインバウンドの団体客が訪れるようになりました。最高記録は月に約1,600名。外国人団体客には通常日本語ができる添乗員がつきますが、個別の細やかな対応は宿泊施設スタッフが行ないます。一度に大勢のお客さまをもてなすためには言葉が重要と、フロント2台、売店1台、レストラン1台の計4台のポケトークを導入されました。全国に49か所あるかんぽの宿としてはテストケースとなる熱海でのご使用状況を伺いました。

かんぽの宿 熱海
かんぽの宿 熱海

団体のお客さまこそ細やかな個別対応が重要。 言葉が通じないことで日本のおもてなしを台無しにしたくない。

外国人宿泊客の増加はいつごろからですか?

かんぽの宿 熱海 支配人 島 寿志さん
かんぽの宿 熱海 支配人 島 寿志さん

4年ほど前からですね。主に中国やオーストラリアの団体客を誘致するエージェントさまと提携したこともあり、一気に増加したんです。眺望が良いことや、バイキングではなくお膳で和食をお楽しみいただける点などをご評価いただき、誘致は増えてきています。月別では7・8月が多く、ピーク時には最高で月1,600名を受け入れました。内訳は、中国からが70%、オーストラリアが10%、台湾が8%、アメリカが5%といったところですね。団体のお客さまは30名前後でいらっしゃるのですが、本館から別館への移動をマイクロバスでピストン送迎しているほど賑わっています。

ポケトーク導入以前のご苦労を、具体的に教えてください。

営業担当 里吉紀宏さん
営業担当 里吉紀宏さん

団体のお客さまには必ず日本語ができるガイドさんが添乗されて、チェックインはガイドさんが行うので問題ないのですが、個別の細かなお問い合わせの対応には苦労がありました。たとえば、お子さま用に浴衣のサイズを変更したい、スマートフォンなど機器類を充電できるコンセントはどこかといったお問い合わせなんですが、中国からのお客さまの場合、まずお部屋からの内線電話では言葉がまったく理解できない…。結果、フロントまでお越しいただいてお顔を合わせて、こちらから身振り手振りのジャスチャーでなんとか意思疎通を試みて内容を察していました。おかげさまで、ジェスチャー選手権があれば世界大会に出られるのでは?と思うほどです!

予約担当 井上寛子さん
予約担当 井上寛子さん

中国のお客さまの事例ですと、チェックアウト後のご出発間際に「トイレはどこ?」と尋ねられたことがありました。ですが、「トイレ」のたった一言が聞き取れないんです。最終的にはご様子から「トイレだ!」とわかったんですが、その際に「便所?」と漢字で書いてお見せしても通じないんです。我慢させてしまったことが申し訳なく、なにより、中国の方には最終手段として漢字の筆談が通じると思い込んでいたので、大変ショックなできごとでした。

社員向けの外国語研修などはしておられますか?

研修としては設けておりませんが、接客でよく使うフレーズを英語と中国語の2パターンで作り、昼礼にてスタッフ全員で唱和しています。
「いらっしゃいませ」「なにかお手伝いしましょうか」「はい、かしこまりました」「お食事会場はあちらです」「靴・スリッパをお脱ぎください」「ここは禁煙です」などになります。

でも、この唱和で覚えたフレーズを実際に使ってみても、中国語は発音が難しくて、なかなかちゃんと通じたことがないんです。

売店では商品名など固有名詞が多いので、さらに難しいですね。唱和するフレーズだけでは対応しきれず、売店スタッフがよく助けを求めてフロントに来ていました。マッサージの先生が中国人なので、内線電話をして通訳してもらっていたんです。でも、電話口で話していただくのはサービスとして行き届いているとはいえず、心苦しい思いをしていました。

翻訳機の起動や読み取りスピード・精度に苦労した経験があるから、 ポケトークの良さがいっそう実感できる!

ポケトーク導入のきっかけを教えてください。

ポケトーク導入のきっかけを教えてください。

インバウンドへの対策は、3年ほど前から力を入れておりました。それで昨年5月、現場から強く要望が寄せられていた翻訳機を導入することになったんです。そんなわけで、実はポケトークの前にも別の翻訳機を導入していました。その翻訳機は半年ほど使用してもらったのですが、導入当初から使い勝手の面でも翻訳精度の面でも問題があって…。

ちょうどイギリスのエージェントさまが、2019年のラグビーワールドカップ観戦ツアーの団体客誘致のための下見にいらしたんです。早速その翻訳機を使用してみたのですが、「客室にご案内します」という単純な内容でも、吹き込んだ日本語自体がまったく正しく読み取りされないんです。何度やっても「ゴルフコースうんぬん」というような、全然違った文章として認識されてしまって翻訳以前の段階で使えませんでした。結局、片言の英語とジェスチャーでご案内しまして、お客さまは「大丈夫ですよ」と言ってくださいましたが、わたしのせいでせっかくのお話を台無しにしてしまったらどうしようとずいぶん気をもみました。

以前の翻訳機は、起動スピードも大変遅かったんです。そもそも翻訳機を使おうというときは、スタッフも接客で切羽詰まっているシチュエーションなんです。お客さまを目の前にしているのに、翻訳機が立ち上がるまで待ってくださいという無駄な時間は…あり得ません。

ポケトーク

以前の翻訳機はそんな状況でしたが、現場の状況も待ったなしでしたので、代わりの翻訳機を探していたんです。そんな折、本社のシステム担当者にたまたまソースネクストさんのメルマガ購読者がおり、「ポケトークという翻訳機が出るらしいよ」と情報をもらいました。もう、すぐにデモ機をお借りしまして、まずは本社でいろいろ試してみました。別の翻訳機と同じ文章を聞かせて、翻訳した音声が正しいかどうかもチェックしましたが、精度もさることながら翻訳スピードがまったく違う! とくに中国語が割と理解できる上司に好評で導入が決まり、1カ月ほどの準備期間を経て、まずは熱海にテストケースとして4台を導入したという流れでした。

ポケトークがある安心感が笑顔のもてなしにつながり 会話も弾むように

ポケトーク導入後に改善されたことを教えてください。

チェックインは15時なんですが、12時にお客さまが来館されたことがありました。「子どもが小さいのでできれば早く部屋に入りたい」ということだったんです。有料なんですがご対応は可能、ということを無事にご案内することができました。こういった、お客さまごとのご事情への細かな対応は、ポケトークがなければ意思疎通はできなかったと思います。

ポケトークがあれば、おもてなしを存分に味わっていただける

お夕食の際、卓上で火をつけるお鍋の蓋を、途中で開けてしまわれるお客さまが多いんですね。半煮えで食べてしまわれないよう、「お鍋の蓋はこちらで開けます」と、ご自分では蓋を開けないようお伝えしたいのですが、発音のせいで通じにくいなか団体のお客さまお一人ずつに伝えて回るのは大変でした。ポケトークなら、素早く正しく通じるのでとても助かっています! お客さまも、ポケトークの翻訳音声をお聞かせすると「なるほど!」とすぐに理解してくださり喜ばれています。ポケトークでコミュニケーションがスムーズになったことで、自信をもって笑顔でご対応でき、会話も弾むようになりました。外国のお客さまは、日本の素晴らしい“おもてなし”を期待していらっしゃいます。ポケトークがあれば、そんなおもてなしを存分に味わっていただけるのではないかと思います。

手のひらに収まるサイズ感が、そういった接客にちょうどいいんですよ。また、ポケトークに頼るだけでなく、ポケトークがあることがスタッフの自主学習にも役立っています。よく使うフレーズをポケトークに話して翻訳された音声を聞き、正しい発音をトレーニングしたりしています。

現場の雰囲気はポケトークで本当に改善されました。

現場の雰囲気はポケトークで本当に改善されました。言葉が通じないと、焦って表情もこわばりますが、ポケトークの安心感で笑顔もよくなっています!

逆に、ポケトークへのご要望はありますか?

翻訳の言葉が音声と共に画面に表示されて助かりますが、文字が小さく読みづらいので、もうすこし画面や文字が大きくなればと思います。

逆に、ポケトークへのご要望はありますか?

先日、タイからのお客さまにポケトークを使用しようとしたところ、ご存じだったようで「おお、ポケトーク!」と、機械を見て安心した表情になられたということがあったんです。ところが、言語設定の画面が小さいので、肝心のタイ語がなかなか見つけられず…。ポケトークに向かって話しかけたら自動的に言語を認識したり、また言語設定を音声コマンドでできる機能があるといいですね。

ポケトークはいつもどのように携帯、または設置しておられますか?

フロントでは使いたいときにいつでも誰でも使えるよう、カウンター内に設置しています。売店やレストランでも、スタッフの目のつく場所に置いていますね。そういえば、現状はケーブル充電ですが、スマートフォンのように置いただけで充電できるようになるといいですね。ケーブルがなければ、さらに必要なときサッと持っていけますので。

【かんぽの宿 熱海でよく使われるフレーズ】

「いらっしゃいませ」
中国語:「欢迎光临」
英語:「Welcome」

「お食事の会場はあちらです」
中国語:「吃饭的会场在那边」
英語:「The venue for dining is over there.」

「(畳の食事会場で)靴を脱いでお入りください」
中国語:「请脱鞋进来」
英語:「Please take off your shoes and enter.」

「私がお鍋の蓋を開けるまでお待ちください」
中国語:「请等我打开锅盖」
英語:「Please wait until I open the lid of the pot.」

「ここは禁煙です」
中国語:「这里的禁烟的」
英語:「No smoking here.」