【Sentio カンファレンスプラン 導入事例】
株式会社ePARA 北村直也様
〜 全盲のブラインドeスポーツスペシャリストが国際学会のパネルに登壇。音声だけで伝わる、通訳者に頼らない安心感を 〜
筑波大学が主催する国際学会「Esports Research Network Conference 2026(ERNC2026)」(2026年9月15日〜17日開催、テーマ:Bridging Gaming Heritage and Esports Futures)に、株式会社ePARAで「ePARA Voice」事業部長 兼 ナレーターを務め、ブラインドeスポーツのスペシャリストとしても活動する北村直也さん(プレイヤーネーム:NAOYA)がパネリストとして登壇しました。
全盲でありながら英語での国際的なディスカッションに挑んだ北村さんは、聞き手側の機材・アプリ導入が不要なAI同時通訳ソリューション「Sentio カンファレンスプラン」を通じて、通訳者を介さず音声だけで登壇者・聴衆との多言語コミュニケーションを成立させました。
導入効果のポイント:
- 通訳者の手配なしで、英語での国際的なパネルディスカッションを完遂。
- 音声で内容を確認できるため、サポート役を介さず自分ひとりの判断で議論に参加。
- 会場の大型スクリーンと聴衆の手元端末の両方に、リアルタイムで翻訳を提供。
導入前の課題
北村さんは、これまで海外の選手・関係者・メディアとやり取りする際は通訳者を立てた「人による通訳」で対応してきました。時折、eスポーツ特有の専門用語には通訳者が対応しづらい場面もあったといいます。
北村さんは、過去の経験から今回のERNC2026登壇も、日本語での登壇もしくは、通訳者を介したコミュニケーションを想定していました。しかし、事前のミーティングで通訳者なしの英語コミュニケーションであることが判明したのだとか。
英語がまったく聞けない・理解できない・話せない状態でのパネル参加について、北村さんは次のように話しています。
お声がけいただいたこと自体は大変光栄であった一方で、正直なところ、まともに議論が成立するとは思っていませんでした。パネルディスカッションの流れを止めてしまうのではないか、質問に対して的外れな回答をしてしまうのではないかという不安が非常に強かったです。
— 北村直也さん(株式会社ePARA)
「音声で確認できる」ことへの安心感
ERNC2026にはポケトーク株式会社がスポンサーとして参加し、すべてのセッションで「Sentio カンファレンスプラン」が同時通訳ツールとして導入されていました。聞き手はスマートフォンやタブレットで専用のQRコードを読み取るだけで、追加の機材やアプリのインストールをすることなく、登壇者の発言を自身の母国語の文字や音声で確認できます(対応言語は登壇者側44言語、翻訳先77言語※2026年9月時点)。
北村さんにとって重要だったのは、この「音声で確認できる」という点でした。多くの翻訳・通訳サービスが字幕やテキスト表示を前提とするなか、音声で内容を把握できることで、サポート役を介さず自分一人の判断で会話に参加できます。実際の使用感について、北村さんは次のように語っています。
内容自体は十分理解できたと思っています。『今こういうことを話しているんだな。じゃあ次に意見を重ねるなら自分はこういう話ができるな』と、聞きながら考えることもできたので、とても分かりやすかったです。
— 北村直也さん(株式会社ePARA)
導入プロセス
当日は、北村さんがイヤホンで「Sentio カンファレンスプラン」の音声翻訳を聞きながらパネルディスカッションに参加しました。登壇する他のパネリストやモデレーター(全員英語話者)との事前ミーティングでは、「翻訳に時間がかかっている間は待っていてほしい」といった進行上の工夫について話し合いました。この事前ミーティングでも、翻訳ツールとしてポケトークを活用しました。
一方で、翻訳が完了するまでのタイムラグへの対応は課題として残りました。北村さんは次のように振り返ります。
話者の声を聞いていると、すでに次の発言者に移っているのに、ポケトークは前の人の発言を翻訳して喋っている様子がありました。そのため、どのタイミングで自分に質問が投げられるかを予想しながら参加するのが少し難しく、課題に感じた部分でした。それでも従来の通訳者の場合と比べると、翻訳が完了するまでのタイムラグは大幅に短縮されていると感じました。
— 北村直也さん(株式会社ePARA)
この点について、進行に立ち会った株式会社ePARAのCMO/広報PRディレクター・細貝輝夫さんは次のように語っています。
当社の視覚障害を持つメンバーもそうですが、話のテンポをとても大切にします。一方で、こうした場では、時間がかかっても正確に伝えることが重要だと捉えれば、会話の『間』やタイムラグも過度に気にする必要はなくなると思います。『多少の間があって当たり前』という共通認識や、過度なストレスを感じない雰囲気を作れたことが幸いしました。
— 細貝輝夫さん(株式会社ePARA CMO)
パネルディスカッションの冒頭、北村さんが第一声で「お待たせしました。今、ポケトークが翻訳してくれるのを待っていました」と発言したことで会場の緊張がほぐれ、その後はタイムラグを誰も気にしなくなりました。
会場では、5名のパネリストが登壇するステージ後方の大型スクリーンに、日本語と英語を並べて表示する「Sentio カンファレンスプラン」の翻訳画面が投影されました。
また、客席の参加者も各自の端末(PC、スマートフォン、タブレット)で同じ翻訳画面を表示しながら、それぞれの母国語で聴講しました。登壇者の発言だけでなく、聴衆側にも音声と文字の両方でリアルタイムに翻訳が届けられました。
導入後の効果
通訳者を介さずに、英語での国際的なパネルディスカッションを完遂できたことが、今回の一番の成果です。北村さんは「ePARA Voice」事業部長・ナレーターとしての活動のほかにも、今後の広がりについて次のように期待を寄せています。
私たちが取り組んでいるゲームアクセシビリティという分野は、専門家が今のところ海外にしかいません。そうした海外の専門家とお話しする際、ポケトークがあれば『アクセシビリティに詳しい通訳者を探すのが大変』という課題も解消されそうだと感じています。
— 北村直也さん(株式会社ePARA)
北村さんによれば、ゲームアクセシビリティに関する国際カンファレンスが毎年春・秋に欧米で開催されていますが、これまでは英語でのセッションを聞き続けるのが難しく参加を見送っていたといいます。
ポケトークをオンライン参加時にも活用できれば、こうした国際的な場への参加の幅が大きく広がることが期待されています。
今後の展望
株式会社ePARAには視覚障害だけでなく、聴覚障害、肢体不自由、精神障害など多様な特性を持つメンバーが所属しています。細貝さんは「今後の各種イベントでも、ポケトークの同時通訳を活用していきたい」と期待を寄せています。
2026/10/19公開