【Sentio カンファレンスプラン 導入事例】
Esports Research Network Conference 2026
〜 国際学会ERNC2026、初の日本開催。母国語のまま、研究は国境を越える 〜
世界のeスポーツ研究者をつなぐ国際学術ネットワーク「Esports Research Network(ERN)」の国際会議「Esports Research Network Conference 2026(ERNC2026)」が、筑波大学の主催により、2026年9月15日〜17日に筑波大学 大学会館(30周年記念館)で開催されました(テーマ:Bridging Gaming Heritage and Esports Futures: Transformations, Traditions, and Tomorrow)。これまで欧州で開かれてきた同会議にとって、初めての日本開催です。
会期中の各セッションでは、聞き手がスマートフォンでQRコードを読み取るだけで使えるAI同時通訳ソリューション「Sentio カンファレンスプラン」が稼働しました。
Dr. Tobias Scholz(University of Agder, Associate Professor / ERN, Founding Chairperson、以下Tobias氏)に、初めての試みとなったAI通訳導入の背景と、その手応えを伺いました。
なお、本インタビューは据え置き型のAI通訳機「ポケトーク X」を介し、日本語の質問と英語の回答で行いました。
導入効果のポイント:
- 英語を得意としない登壇者の講演・パネルにも、参加者がそれぞれの言語でアクセスできるように。
- QRコードを読み取るだけの手軽さに加え、大型スクリーンへの投影で会場全体に翻訳を共有。
- 母国語で話せることが、登壇者に「言いたいことを正確に言える」安心感をもたらした。
導入前の課題
「英語だけ」が当たり前だった国際会議
ERNが関わる国際会議は、これまで基本的に英語のみで運営されてきました。Tobias氏によれば、地域の会議であっても英語話者が一人いれば英語に切り替えるほど、英語での進行が前提だったといいます。
私たちが関わるカンファレンスのほとんどは、英語だけで運営しています。地域のカンファレンスでも、英語を話す人が一人いれば英語に切り替えることがあるほどでした。2年前にはノルウェーのeスポーツサミットがあり、ノルウェーの方々が多数集まっていましたが、私はノルウェー語を話せません。
— Dr. Tobias Scholz(University of Agder, Associate Professor / ERN, Founding Chairperson)
研究成果も「言語の壁」の向こう側に
Tobias氏が課題として挙げたのは、会議運営だけではありません。eスポーツ研究そのものが言語ごとに分断されている、という問題意識です。
eスポーツ研究でも、多くのことが言語の壁の向こうにあります。日本の研究者は日本語で、韓国の研究者は韓国語で論文を発表し、中国のeスポーツ研究も大半は中国語で発表されています。そのため、eスポーツ研究の全体像がつかめないのです。日本も韓国も中国も重要なのに、西欧にいる私たちには何が起きているのかが分かりません。
— Dr. Tobias Scholz(University of Agder, Associate Professor / ERN, Founding Chairperson)
初のアジア開催、「試してみよう」という判断
ERNCはこれまですべて欧州で開催されており、今回が初めての欧州外での開催となりました。日本を選んだ理由と、AI通訳を採用した経緯について、Tobias氏は次のように話します。
理由のひとつは、もちろん日本がゲームとeスポーツに長い歴史を持っていることです。そして、欧州の外に出たいと考えていました。これまではすべて欧州で開催してきたので、アジアの国を選ぶのは自然な選択だったと思います。筑波大学と篠原翼先生には大きな支援をいただきました。言語の問題をどうするかという話になったとき、(ポケトークの)ツールの話が出て、AIで翻訳するというアイデアを検討していた私たちは『よし、やってみよう』と決めたのです。
— Dr. Tobias Scholz(University of Agder, Associate Professor / ERN, Founding Chairperson)
会議の開催にあたっては、大会委員長(Conference Chair)を務めた筑波大学人文社会系の篠原翼助教とポケトーク株式会社が事前に連携し、ポケトーク株式会社はスポンサーとして参加しました。
導入プロセス
会期中は、各セッション会場の入口に、日本語・英語のQRコード入りのバナーを掲示しました。参加者は自分のスマートフォンでQRコードを読み取るだけで、追加の機材やアプリのインストールをすることなく、登壇者の発言を自分の言語の文字と音声で確認できます(対応言語は登壇者側44言語、翻訳先77言語※2026年10月時点)。会場の大型スクリーンにも翻訳結果を投影しました。
使い勝手について、Tobias氏は次のように評価しています。
QRコードなどは、とても簡単だと感じました。唯一あるとすれば、小さなスマートフォンだと(画面を見るのが)難しくなることくらいですが、大きなスクリーンに映してくれていたので、とても助かりました。
— Dr. Tobias Scholz(University of Agder, Associate Professor / ERN, Founding Chairperson)
インタビューも「ポケトーク X」で
本インタビューでは、聞き手が日本語で質問し、据え置き型のAI通訳機「ポケトーク X」に表示された英訳を見ながら、Tobias氏が英語で回答する形で進めました。通訳者を介さずに、母国語同士で対話が成立しています。
導入後の効果
母国語で語る登壇者の話を、聞けるようになった
Tobias氏が最も大きな効果として挙げたのは、英語を得意としない登壇者の話に、参加者がアクセスできるようになったことです。
(あるパネルでは)4人のパネリストのうち3人は英語が得意ではないようでした。一人はとても上手でしたが。それでも、情報が開かれ、彼らが何を話しているのかを聞けるようになります。今日の基調講演もとても興味深いものになるでしょう。登壇者は英語での講演には同意しなかったはずです。話せるかもしれませんが、英語では引き受けなかったでしょう。
この世界に20年いる人たちが、自分たちの取り組みについて語るのを聞けること。それが私にとって一番魅力的なことです。
— Dr. Tobias Scholz(University of Agder, Associate Professor / ERN, Founding Chairperson)
「言いたいことを、そのまま言える」安心感
Tobias氏は、母国語で話せることが話し手に自信を与える点にも触れています。
(英語やフランス語など母国語以外で)話すと、多くのことが抜け落ちてしまいます。でも(母国語で話せることは)、言いたいことを正確に言えるという自信を、すべての人に与えてくれます。
— Dr. Tobias Scholz(University of Agder, Associate Professor / ERN, Founding Chairperson)
お客様の声
私の大学には国際的な学位課程があり、博士課程の学生もいます。彼らは自分の研究分野の言葉には非常に長けていますが、普段の会話はそれほど得意ではありません。だからこそ、私はこれからの数年をとても楽しみにしています。誰もが自分の母国語で話し、よりよくコミュニケーションできるようになる。第二言語ではニュアンスが抜け落ちますし、第三、第四言語ならなおさらです。私は一生かかっても日本語を習得できないでしょうし、皆さんにとっても英語を話すのは難しい。だからこそ、AIが助けてくれることで世界はよりよくなるのです。
— Dr. Tobias Scholz(University of Agder, Associate Professor / ERN, Founding Chairperson)
今後の展望
国際会議の主催者に向けたメッセージを求めると、Tobias氏は今回を「試み」と位置づけたうえで、他の会議にも勧められる手応えを語りました。
今回は私たちにとってまさにテストでした。でも、どんなカンファレンスにとっても、こうした機会を提供するのはとても良い方法だと思います。多くの発表が英語で行われていても、聞き取りに自信があるとは限らないからです。知識の共有という点でも同じです。私の博士課程の学生たちは、英語で論文を書くことも発表することもできます。でも、ディスカッションとなると難しいかもしれません。だからこそ、これはどんなカンファレンスにとっても、特に国際的なレベルでは、付加価値になるのです。
— Dr. Tobias Scholz(University of Agder, Associate Professor / ERN, Founding Chairperson)
2026/10/19公開
