2019/05/30

切符購入や乗り換え案内、災害・緊急時の非常対応から困りごとの解決まで。 幅広い場面で活躍し、訪日客のリピート利用を呼び込むポケトークの可能性

ポケトーク導入事例 JR西日本様

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(左から)西日本旅客鉄道株式会社 神戸支社 姫路駅 中口実穂さん、西日本旅客鉄道株式会社 近畿統括本部 駅業務課 荒木真一さん
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京都や奈良、大阪などアジア有数の観光地が集まる西日本。年間160万人もの訪日客が利用するJR西日本も、インバウンド向け乗車券や観光案内を充実させるなど、外国人客向けサービスに注力しています。乗り換えや乗車券、忘れ物など多種多様な問い合わせが寄せられることから、2019年1月21日より外国人への案内業務にポケトークを導入し、現在は12駅合計61台(2019年5月現在)で活用されています。今回は世界遺産姫路城で有名な姫路駅での事例を中心に、JR西日本のポケトークの導入についてレポートします。

切符やのりばの案内以外にも、同行者とはぐれた人を探したり、 忘れ物の問い合わせも。幅広い対応力が求められる鉄道の現場。

外国人客はいつ頃から増えましたか?

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特に増えだしたのは2010年頃からだと思います。姫路駅には、英語や中国語ができる外国人スタッフが常駐していますが、彼らに寄せられる問い合わせは1月で1,000件、1日におよそ30件になります。

私が入社した4年前の段階で4人に1人が外国人のお客さまでした。多いのは欧米と中国からのお客さまで、韓国やアジア系の方もよく来られています。

どういった内容の問い合わせが多いのでしょうか?

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切符の購入方法やのりばのご案内、観光地への道案内が中心です。姫路駅は、近くに世界遺産に認定された姫路城があるので、各国からの団体ツアーのコースになっており、はぐれてしまう人や忘れ物に対する問い合わせが多いのが特徴ですね。人探しや忘れ物は「いつまで一緒にいましたか」「どこで忘れましたか」と、鉄道と関係のない内容のやりとりが発生するので、現場の係員にとっては負担になっていると思います。

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大きな荷物を持っている方がほとんどなので、コインロッカーを使われることも多いんです。ところが、コインの投入口のある位置が日本と海外では反対のようで、隣のロッカーにお金を入れてしまわれるというトラブルもよくあります。

こうした問い合わせに対して、ポケトーク導入前はどのように対応されていたのでしょう?

よくある問い合わせに対しては、翻訳文が書かれたシートでご案内したり、係員に配布されているタブレットの翻訳アプリでやりとりしていました。翻訳アプリはタイムラグができるので、待ちきれないお客さまが自分のスマートフォンに直接文字を打ち込んで、それを見ながらやりとりするほうが早いというケースもありましたね。でも、対応言語も限られていて、以前、ベトナム語しかできないお客さまがいらっしゃった際にはアプリで対応できず、とても困ったことがあります。

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2017年度にJR西日本をご利用になった海外からお越しのお客様は年間160万人です。私たちはこれに100万人プラスして、2022年までに年間260万人の海外からお越しのお客様にご利用いただくプロジェクトに取り組んでいます。そのためには、新規のお客さまにご利用いただくことはもちろんですが、一度ご利用になられた方がまた利用したくなるような、質の高いサービスを提供することが大切になってきます。外国人スタッフの配置はその一環ですが、すべての駅をカバーできているわけではなく、タブレットでの対応にも限界があるので、補完するツールとして導入したのがポケトークでした。

広い構内を気軽に持ち運べるコンパクトさと、 個別対応に力を発揮する機動性が魅力。

ポケトークはどの駅に導入されていますか?

新大阪や京都、姫路といった新幹線駅のほか、奈良や関西空港、三ノ宮といった外国人客の利用が多い駅にも配置しており、現在計61台を導入しています。(2019年5月時点)

姫路駅にはみどりの窓口と、各改札に計5台あります。主に外国人スタッフが対応できない言語や、スタッフがいない状況で使用しています。

初めて使ったときの印象はいかがでしたか?

最初に言語を設定して、後はボタンを長押しするだけなので、会話をスムーズに始められるところが良いと思いました。また、駅の中は電車の走行音で会話がしにくい場所もあるのですが、少々うるさくてもしっかりと聞こえるぐらいに音量を大きくできますし、それでも聞き取れない場合は、ディスプレイの文字表示で活用できています。文字サイズを大きくすることもできるので、年配のお客さまやスタッフも読みやすいと感じています。

2018年の夏ごろに、旧型モデルのポケトークをデモ機として試験導入したのですが、実はその際はスタッフからの評判は翻訳にやや時間がかかることや、おかしな翻訳文になることもあったりと少し難しいところもありました。ところが「ポケトーク W」としてバージョンアップされた際は、そういった部分がすべてクリアされていて・・・。旧型でテストしたスタッフたちからも、新型を初めて使ったときは非常に良い反応が返ってきましたね。

ポケトークの使い方は、お客さまにもすぐに理解してもらえていますか?

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私が端末に向かって話しているのを見ると、だいたいのお客さまが理解していただけます。一度、私がポケトークに話した後で、お客さまが自分のスマートフォンで文字を打ち込もうとされたので、ジェスチャーで「ここに向かって話すと翻訳できますよ」と伝えたところ「ナイス!」と、とても感心されたことがあります。

正式に導入されるに至った決め手はなんでしょう?

やはり機動力ですね。改札口での案内に限れば、パソコンやタブレットでも事足りるのですが、駅の係員は構内を移動することが多く、特に忘れ物の対応などはあちこち走り回ることもあるので、コンパクトで携帯しやすい点は絶対条件です。現状よりサイズが一回り大きければ導入しなかったかもしれないぐらい、私たちにとっては重要なポイントだと思います。スタッフが持ち運びしやすいことは、自然災害や事故など、イレギュラーな状況でも役立ちます。「台風の影響で16時以降は電車が動きません」とか「ダイヤが変わったので、この電車が一番早く着くようになりました」といった案内を行う際、日本人のお客様には一斉に放送することですっと状況が飲み込めます。ですが、海外からお越しのお客様には丁寧に説明しないと伝わりづらいので、ホームや改札で個別に案内する場面で非常に重宝しています。

ポケトークがあって良かったと感じられたエピソードを教えてください。

以前、アジア系の女性の方がホームでうずくまっておられたんです。それでポケトークを持っていって事情をうかがってみると、インドネシアから来られた方で、お連れの方が荷物を取りに広島まで行っていて、戻られるのを待っているとのことでした。距離を考えるとかなり時間がかかりますし、ご本人もお疲れの様子でしたので待合室にご案内したのですが、ポケトークがなければご事情が理解できなかったかも知れません。

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大阪環状線に、USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)への乗り換え駅である西九条という駅があります。2018年の冬に、環状線で早朝に信号トラブルが起きて電車がすべてストップしたことがあるのですが、USJの開園に近い時間だったこともあって西九条駅は観光客でごった返してしまいました。USJまではバスや徒歩でも行けるので、すぐにそのことを構内アナウンスでご案内したのですが、外国人客にはきちんと伝わっておらず、そのまま駅にとどまっておられました。そこでポケトークを持ち出して、個別に説明したりいろいろな言語でアナウンスすることで、ご理解いただけたということがあります。

お客さまの不安を解消することにも役立つのですね。

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姫路駅でも以前、欧米系の5人組のお客さまが、お連れの方とはぐれて改札に来られたことがありました。英語を話されていましたが、新幹線の中ではぐれたのか、駅構内ではぐれたのか、正確な状況まではつかめなかったので、ポケトークを利用して詳しく事情をうかがいました。すると「はぐれた友人は恐らくまだ新幹線に乗ったままで、通信機器も持っていないので連絡がとれない」とのことで、非常に不安そうなご様子でしたが、こちらで車掌に連絡を取って新幹線の車内でお声がけして、折り返しの電車もご案内できました。その後、お連れの方と無事に再会できてとても喜んでおられたことが印象に残っています。

個々の語学力によらず、誰もが確実に 外国語でコミュニケーションをとれるツール

これまでに対応した珍しい言語はありますか?

カンナダ語ですね。カンナダ語はインドのある地域で使われている言語で、非常に珍しい言葉だと思いますが、「途中下車をするためには別途切符を買っていただく必要があります」という内容も、きちんと伝えることができました。

切符の種類や買い方の説明は複雑そうですね。

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ほとんどの外国人客の方が「ジャパンレールパス」というインバウンド向けの切符を利用されているのですが、途中下車や席の指定についての決まりを説明するケースは多いですね。また、現在は「ハローキティ新幹線」が期間限定で運行しているので、写真を撮られたいお客さまから、出発時刻や到着するホームがどこかを聞かれることも増えました。

ご自身の語学や接客対応の勉強には役立っていますか?

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会話内容が記録され、お気に入り登録もできるので、空き時間に過去のお客さまとのやり取りを見返したりしています。自分が出勤していないときの履歴も残っているので、ほかのスタッフが対応した会話からも例文や対応の仕方を学ぶことができるのがいいですね。

ポケトークに改善してほしい機能はありますか?

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過去に翻訳した言葉を、保存しておける機能があればいいですね。電車が遅延している理由を案内する際に、原因別にパターンを登録しておけば、構内アナウンスでスムーズに使えるかもしれません。

今後は、どのように活用していきたいですか?

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当社で海外からお越しのお客様と直接対応を行うのは、現状では海外留学経験があったり、語学に堪能なスタッフがメインです。しかし外国人客を100万人増やすことを目指すうえでは、彼らだけではなく、すべてのスタッフが外国語への苦手意識を克服して、お客さまをお迎えするコンディションをしっかりと整えることが大切です。その意味では、個々の語学力に関係なく、確実にコミュニケーションがとれるポケトークはとてもありがたいツールです。将来的には、全社員のポケットに1台ずつポケトークが入っていることが夢です。

外国人客には言葉が直接通じない分、日本人のお客さまよりも、私たちの表情や態度が見られていると思います。ポケトークを活用するなど、言葉の問題を気にせずにゆとりのある対応ができるようになれば、これまで以上にお客さまに笑顔で接することができるようになると思います。

●よく使うフレーズ
・「新幹線には自由席と指定席があります。」
英語:Shinkansen has free seat and reserved seat
中国語:新干线有自由席位和指定席位。

・「ジャパンレールパスは、『のぞみ』と『みずほ』がご利用いただけません」
英語:Japan Rail Pass is not available for Nozomi and Mizuho
中国語:日本铁路通票不能使用希望号和瑞穗号。

・「博多方面は12番乗り場です」
英語:Hakata area is the 12th platform
中国語:博多方向是十二号乘车点。

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