鉄道会社 京阪電気鉄道株式会社様の場合
京阪電気鉄道株式会社(以下、同社)は、2024年2月より、駅構内にてポケトークを36台導入し、訪日外国人観光客へのサービス向上を目指しています。
同社が運営する全長約91.1kmの鉄道網は、観光地として人気の高い「京都」「大阪」「滋賀」の3県にわたっており、海外からの旅行者にとって重要な移動手段です。
インバウンドがV字回復してから、外国語対応の改善が急務とされました。そこでポケトークを導入したところ、すぐに効果が現れ、駅スタッフの負担が軽減されスムーズな案内が可能になったと言います。
今回のインタビューでは、ポケトークの導入背景と効果について、京阪電鉄の横田様と佐治様にお話を伺いました。
──ポケトーク導入前の状況を教えてください。
今までは、外国人対応のために3者間通話サービスをメインで使っていました。お客様に窓口の電話でオペレーター(通訳者)と話してもらう方法です。
ただコロナ禍になりインバウンドが回復し始めてから、外国人観光客の数が増加し、言語コミュニケーションの課題は無視できないものとなっていました。
特に行楽シーズンには、窓口にいらっしゃる日本人のお客様の数も増えます。対応すべき内容も、道案内だけでなく、落とし物や、乗り換え案内など、多岐に渡ります。そこで英語だけでなく、韓国語や中国語、その他様々な言葉での効率的かつ正確な対応が急務となっていました。
実のところ私は、京阪電車の入社前から、テレビCM等でポケトークを知っていました。現在の職場で、上司に私物のポケトークを使っている方がいて、そこで私もポケトークを使わせてもらい、非常に便利だと感じました。
今は1日に数百名のお客様対応をする駅の窓口に立っています。窓口で対応するお客様のうち2割くらいが外国人観光客で、もちろん日本語は伝わりません。
忙しいタイミングでは正直、3者間通話サービスを使う時間さえ惜しく感じる時もありますが、とはいえ通訳なしで全ての対応を正確にできるほど、自分にも他の現場スタッフにも自信がなかったところで、ポケトークを思い出しました。
──ポケトークの導入を決めた理由は何でしたか?
佐治さんから「現場の声」としてポケトークの導入依頼を受けたんです。ちょうど社内で外国人対応をどうしていくかという話をしていたときだったので、ポケトークの性能が非常に良いと聞き、早速試してみたところ、現場での評判が非常に良かったため、3者間通話サービスではなく、今度はポケトークをメインの通訳手段とすることに決めました。導入にあたっては、大阪から京都までの各駅で電波状況も調査しました。
──具体的にどのようにポケトークを活用いただいていますか?
導入した36台のポケトークは、外国人のお客様が多い地域を中心に、大半の駅に設置済みです。改札やカウンターに置き、スタッフが使用しています。
具体的には、どの経路で目的地に行けば良いか、例えばJR線に乗り換えて大阪駅に行く方法などを聞かれることが多いです。あとは、京都専用の企画乗車券で大阪まで来てしまうと対象区間外は追加料金がかかることを説明することも少なくありません。その際にポケトークを活用して、できるだけ丁寧な対応を心がけています。
──相手の母語に合わせて言語設定を変えていますか?
はい。待機画面は基本的に英語に設定しており、多くのお客様に対応できるようにしています。具体的に「⚫︎⚫︎語で」とご希望があれば、その言語に設定します。
窓口に来るお客様の中には、ご自身のスマホ画面を見せながらお悩みを相談くださる方もいらっしゃいますので、その場合はポケトークの言語設定を相手の言語に合わせ、お互いが母語でやりとりできるようにしています。
──ポケトークの導入によって得られた成果を教えてください。
現場全体での大きな変化は、まずお客様対応時間が短縮されたことです。これにより日本人のお客様対応にも余裕が生まれたり、他の業務に時間を当てられるようになったりと、作業効率が大幅に上がりました。
ポケトーク導入後に現場アンケートを実施したところ、言語に不安があった駅員からも、「ポケトークが便利」「安心して対応できる」と非常に好評であることが見て取れます。
ポケトーク利用アンケートについて(2024年4月、100人)
かなり便利 64% 、 まあまあ便利 32% → 96%が「便利」と回答
使用頻度は毎日5回以上 36% 、 2〜4回 20%
英語が話せるスタッフも何名かいますが、以前はほとんどが単語をつなげて、あとはジェスチャーでなんとか言いたいことを伝えていました。それをすべてポケトークに任せることで、窓口に来られるお客様にも自信を持って接客できるようになったと現場が明るくなった印象です。
片言で身振り手振りで伝わっているかどうかわからない接客スタイルから脱却し、正確な情報を確実に伝えられた実感を持てているのが、意思疎通における大きな改善だと感じています。
現場として最もありがたいのは、とにかく使い方が簡単であることです。使いたいときは真ん中のボタンを押すだけ。ワンステップで言いたいことを全て翻訳してくれるので、現場スタッフへの導入教育も必要なく、全員が直感で使えていました。
また我々は関西で展開していますから、コミュニケーションが関西弁になります。ポケトークが英語、中国語、韓国語はもちろん、関西弁などの日本国内の方言にも対応している点には驚きました。
私も説明に熱が入ってしまうあまり、外国人のお客様相手にも関西弁が出てしまうことがあるのですが、そうした方言も汲み取れる翻訳性能の高さに助けられています。
ポケトークは、独特な言い回しやイントネーションの多い方言にも対応しています。関西弁でも簡単な単語や文章であれば問題なく認識し、細かなニュアンスも捉えて翻訳できる検証がされています。
詳しくは「どこまでできる?ポケトーク・徹底検証」大阪弁編をご覧ください。
──ポケトークの今後の導入可能性について教えてください。
現在36台を導入していますが、今後も使用頻度やニーズに応じて導入台数は見直して参ります。
言語の壁を越えたコミュニケーションが可能になることで、外国人観光客との交流が深まり、日本の文化や魅力をより効果的に伝えることができるでしょう。ポケトークは広い意味で観光業界全体のサービス向上に寄与できると確信しています。
これからも様々な場面でポケトークを活用していきます。