ドラッグストアで翻訳ツールは必要不可欠。免税対応店を増強するのに伴い80台を導入
外国人観光客の日本での目的の一つに挙げられる、ドラッグストアでのショッピング。取り揃えられる日本製品の品質が世界で認識されていることを、もっとも象徴的に表す動向です。創業40年以上の実績を持つ愛知県発の「スギ薬局」は現在、関東・中部・関西・北陸で1,100を超える店舗を展開。今年に入って免税対応店を約4倍に増強しました。以前から中国人や韓国人のスタッフを採用してきましたが、来る2020年に向けインバウンド対応にとポケトークの導入を決定。免税対応店の増強に伴い80台をレンタルされています。薬品から日用品、コスメまで、外国人に人気が高い商品を扱うドラッグストアならではの使い方、印象的なエピソードを伺いました。
2020を見据えて免税対応店を4倍に増強。 免税売上が6~7割を占める店舗も
――普段、外国人客はどのくらい来店されますか?
免税処理した際のPOSデータでは、中国が7割と大半を占めています。次いで台湾1割で、韓国、タイなど東南アジア、ロシア、アメリカなどが続きます。
わたしは2018年7月に開店した「スギ薬局新橋駅前店」でオープン時から勤務していますが、オープン初日から大勢の外国人のお客様がお見えになり、実際に中国からの多くのお客様に対応しました。
免税売上が6~7割を占める店舗もありますので、1日のご来店の半数以上は外国人と言っていいと思います。
――いわゆる爆買いブームの前後での変化はいかがですか?
以前、わたしも店舗に立っておりましたが、外国人のお客様がどんどん増えているなという体感がありましたね。爆買いブームは2015年がピークでしたが、リピートされるお客様もあり、2016年以降も来店数、売上とも、毎年コンスタントに伸びています。
新商品やリニューアルなど動きが速いドラッグストア。 最新商品のご説明にジェスチャーでは限界が……
――ポケトーク導入前の対応はどうされていましたか?
“マンパワー”です。中国や韓国からの留学生をアルバイトとして採用していました。弊社では、かなり以前からネイティブの方を雇用していまして、営業時間中は必ず中国語や韓国語が話せるスタッフが常駐していました。しかし、2019年に入って免税対応店舗をこれまでの4倍となる200店舗に増強したことで、さすがにフルタイム常駐に対応できない店舗が出てきています。また、当社だけでなく他ドラッグストアもネイティブスタッフの採用を強化されていますから、留学生も取り合いになってしまい確保が難しくなっている現状です。
――日本人スタッフへの外国語研修は行っていますか?
自主的なものですが、今期に入り社内の通信講座で中国語のおもてなし用語などが学べるようにしました。免税対応店のスタッフは、積極的に受けてもらえるよう呼び掛けています。販売促進部としてわたしも受講しました。
これまでは、店舗に立つ日本人スタッフのほとんどが、片言の英語とジェスチャーで対応するしかない状態になっていました。わたし個人は中国語を勉強した経験があるので、中国語も少し話せるのですが、やはりジャスチャーで接客するケースも多くあります。
――ほかの翻訳機やアプリなどは使用されていましたか?
中国語、韓国語、英語に翻訳できる翻訳アプリを自分のスマートフォンにダウンロードして、ジャスチャーではどうにも通じないときに使っていました。でも、お客様が早口で話されると、翻訳アプリで単語を一つずつお見せしていては間に合わず、「中国人スタッフを呼んでくれ」と言われてしまいます。申し訳ないですがその場に中国人スタッフがいなければ会話が成立せず、諦めてしまわれるということもあり、もどかしく感じていました。
会社から支給していたわけではなく、多くのスタッフが平尾さんのように自分のスマートフォンを使うしかなかった状況でした。しかし、個人のスマートフォンでお客様対応というのは、スタッフにも抵抗があったと思います。
――現場のスタッフから、外国人対応について相談されることもあったのでしょうか?
スマートフォンの画面で商品写真を提示されるお客様が多いのですが、例えばそれが古いパッケージで、「こちらは新しいパッケージになります」とか「新商品が出ています」などとご案内したいのに、そういう一歩踏み込んだご案内ができないという相談がよくありました。こちらが対応できないとなると、さっさと諦めてしまうお客様もいらっしゃいます。スタッフも、「商機を逃している」という不安感はあったと思います。
お写真で示される商品は、お土産で頼まれたものが多いんです。仮にその商品はお渡しできたとしても、「こういうものがないか」とかお客様ご自身がほしい商品について尋ねられることもあり、そういった場面でも困っていました。「それならこちらが新商品ですよ」とか、「これは日本で人気があります」とご説明したくても、言葉が出てこなくてご購入に結びつかないという例はたくさんありました。
ネイティブスタッフが各社で引く手あまたの現在、精度の高いポケトークがその解決策に。
――ポケトークを導入された経緯を教えてください。
販促物の展示会に訪れた際、ポケトークが出展されていたブースにたまたま立ち寄ったんです。説明を受けますと、非常に多くの言語に対応していて使い勝手も良く、ちょうど一緒にいた当社の役員が、「インバウンド需要の増加に伴ってこれは必要なツールではないか」と。そこからは話は早かったですね。春にその展示会でポケトークに出合い、7月にはもうテスト導入していました。レンタルなのでコストを抑えながら台数を導入でき、新機種がでれば切り替え対応もしていただける。初めは15台、次に30台、そして現在は80台と、弊社の免税対応店の増強に合わせてどんどん導入していきました。
――スタッフの方々のテスト導入の反応はいかがでしたか?
関西と関東の免税対応店3店舗で2週間ほどテストしました。スタッフからは、「ぜひ使いたい」「これは助かる」「使い方もわかりやすい」と好評でした。実際にネイティブスタッフに確認してもらったら、「これはちゃんと翻訳できてますね!」と太鼓判をもらいました。
わたしは店舗に導入されてポケトークを初めて知ったのですが、こんなツールがあったのかと、翻訳精度や使い勝手の良さにすごく驚きました。
――接客のどんなシーンでポケトークを使っていますか?
主に中国のお客様の対応になりますが、英語が通じず商品写真もお持ちでない場合に活用しています。文章ではなく、話し言葉となると単語一つもなかなか聞き取れないのですが、ポケトークに「これに向かって話してください」と最初に翻訳してお見せすると、お相手もすぐに理解されてスムーズに会話が進みます。ポケトークを使ってみると、「ああ、入浴剤がほしかったんだ」とか意思疎通ができて、大変助かっています!
――印象的なお客様とのエピソードはありますか?
中国のご婦人から、キューブ型の固形入浴剤を手に、一生懸命にジェスチャーでなにかを尋ねてこられたのですが、なにを言われているのかまったく聞き取れない。そこでポケトークを出して話しかけてもらったら、「これはなにに入れて使いますか?」と翻訳されました。パッケージでは洗浄剤だと思われたようで、トイレに使うものか、お風呂に使うものかを尋ねておられたんです。「それは入浴剤です」と、正しくお伝えすることができました。
――日本と海外の習慣の違いで戸惑われ、ポケトークで説明されたケースはありますか?
飲料をお会計の前に飲んでしまわれる方が、中国の方も、英語圏の方でも、しばしばあります。うちでお買いになったものか、ほかで買って持ってきたのかわからないので、ポケトークを使って確認したことがありました。すると、「これも一緒に会計してくれ」とおっしゃいます。開封されてしまうと仕方がありませんが、開封前にお見かけした場合は「お会計の前に飲まないでください」「お会計してから飲んでください」とお声がけしています。通常はネイティブスタッフに対応を任せるのですが、レジが混んでいる時間帯はわたしたち日本人スタッフも対応しなければなりません。そういうとき、ポケトークがあると安心です。
――お客様は、ポケトークの使い方をすぐに理解されますか?
翻訳機であることはすぐに理解されますね。ボタンを押す操作は主にこちらで行ない、お客様には話していただくだけにしています。その際、聞き取りのスタート音が鳴る前に話し出してしまう方も多いので、先に「音が鳴ったらゆっくり話してください」と翻訳しておいてお見せするところから始める場合も多いです。
写真と同じものしか納得しないお客様に、 ポケトークによる説明でPB商品が売れた!
――ちなみに、外国人に人気の商品はどんなものがありますか?
化粧品では洗顔料、化粧水、乳液などの基礎化粧品ですね。中国や韓国の女優さんが、「これはいいよ」とSNSで発信した商品がよく指名されます。ほかには、入浴剤、歯ブラシ、歯磨き粉も人気で、歯ブラシを何本も買っていかれるお客様もおられますね。
――ビューティアドバイザーとして、ポケトークで喜ばれたエピソードを教えてください。
――ほかにも、ポケトークがあって良かったエピソードはありますか?
別のスタッフの事例です。ある中国のお客様がお持ちになった商品写真が、他社のPB商品だったんです。「それと同じ効果の商品があります」とスギ薬局のPB商品がご紹介でき、ご購入につながった経験があります。他社のPB商品はうちにはありません。だからといって、「ありません」で済ませずにしっかりと接客できたのは、ポケトークのおかげですね。こだわるお客様の場合には箱の裏面の成分表示をお見せして、比較説明をすることもあります。お客様のご納得をいただくためには、ポケトークは不可欠ですね。
ポケトークを「友だち」と呼ぶスタッフも。 身近なツールとして店舗に浸透
――今後のポケトークに求めることはありますか?
先ほどもお話しましたが、音が鳴らないうちに話し出す人も多く、とくに中国の方は早口なので音声が拾いきれないことがあります。最初の注意として、「ピッと音が鳴ったら話してください」「ゆっくり話しかけてください」というインフォメーションが、どの言語においても最初に表示されるといいなと思います。
翻訳の処理速度がもうすこし速いといいですね。ただ、精度や操作性は高評価で話題性があり、確保が難しくなったネイティブスタッフに代わって活躍する存在、それがポケトークです。人件費が抑えられますし、今後の出店や商品ぞろえにも影響するかと思います。なにより、日本人スタッフたちの外国人に対する気後れがなくなったことが素晴らしいですね。堂々と笑顔で接客できることが一番です。
――販売スタッフにとって、ポケトークはどんな存在ですか?
お守りです。いざというときに、ポケトークがあるという安心感はほかに代えがたいですね。ポケトークを「友だち」と呼んでいるスタッフもいるんです。「そこの友だち、取って」って(笑)。今ではそのくらい、身近に感じています。
●よく使うフレーズ
「いつから痛いですか?」
英語:Since when did it hurt
中国語:从什么时候开始痛的?
「どこが痛いですか?」
英語:Where does it hurt?
中国語:您哪儿痛
「この薬を使ったことがありますか?」
英語:Have you ever used this medicine
中国語: 使用过这种药吗?
「日本にいる間に使うと免税になりません」
英語:If you use it while you are in japan,it will not be tax free
中国語: 在日本期间使用的话就不能免税。