[最終報告]英語力中級の日本人がポケトークを使って言葉の壁をどこまで突破できるのか?
平石武
2024年12月15日
◆はじめに:本記事の趣旨
本記事は、僕がランサーズ社主催コミュニティ「新しい働き方LAB」の研究員制度に参加して個人の働き方について半年間実験を行った結果をまとめたものです。
目次
- はじめに:本記事の趣旨
- 実験の概要
- 実験の背景
- 検証したいこと
- [検証1] リモートワーク×海外ボランティアという暮らし方
- [検証2] 海外企業からの仕事受注
- 活動スケジュール
- 活動記録
- [01] ボランティア活動 in スリランカ
- [02] ボランティア活動 in タイ
実験の概要
今回僕が選んだテーマは、
翻訳機「ポケトーク」でどこまで言葉の壁を突破できるのか?
いまや翻訳デバイスの定番となった「ポケトーク」を使って、海外の旅先でのコミュニケーションに活用してみようという実験です。
実験に使った「ポケトークS-Plus」
今まではあまり滞在先の候補にしてこなかった共通言語の無いコミュニケーション環境にも積極的に飛び込み「ポケトークという武器でどこまで言葉の壁を突破できるか」ということにチャレンジしてみました。
実験の背景
ここで「なぜ自分がこのテーマを選んだのか?」についても触れておきます。
僕は4年ほど、国内/海外を半年ごとに行き来しながらノマド生活を送っています。
リモートワークをしながら春夏は国内の田舎を、それ以外はアジアの暖かい国を転々とする生活
ただ、英語もそこまで達者な訳ではなく、海外と言ってもアジアがほとんどという環境なので、言葉の壁にぶつかる場面は少なくありません。
言葉が通じないストレスや恥ずかしさを避けて、海外ではひとり静かに過ごしがちだったのですが、
やっぱりローカルの人や文化との出会いを楽しみたい!
そんな想いが旅を重ねるにつれ募ってくる中で、本実験を自分の暮らし方を変えるきっかけにしたいと思い、企画しました。
ベトナムで会ったことのない新郎新婦(日本語が話せる友達のその友達が新郎だった繋がり)の結婚式に出席したとき笑。思い出に残るのはやっぱり人との縁。
検証したいこと
[検証1] リモートワーク×海外ボランティアという暮らし方
この実験で最も検証したかったことは、リモートワークをしながら海外でのボランティア活動に従事するという暮らし方が成立するのかということ。
海外滞在中に抱えていたモヤモヤは、日本にいるときと比べて社会との繋がりが希薄になっているのではないかということでした。
そこで、今回の実験も絡めてこの「社会との繋がりロス」を埋めてくれるものを探した結果、海外でのボランティア活動にその可能性を見出しました。
ポケトークのポテンシャルを確かめるために共通言語でのコミュニケーションが期待できない場所を敢えて選び、
観光客が足を踏み入れないような海外の田舎で滞在型のボランティアを体験する
というチャレンジを行いました。
実験終了後も継続できる暮らし方を前提としていたため「リモートワーク可能な環境」という条件付きで滞在先を選びました。
[検証2] 海外企業からの仕事受注
2つ目に検証したかったのはポケトークを活用して海外の仕事獲得にも繋げられるかということ。
ポケトークにはデバイスを用いた対面での通訳以外にも、「ライブ通訳」と呼ばれるPCやスマホ上のコミュニケーションで使える機能があります。
PCやモバイルでリアルタイムに通訳してくれる「ライブ通訳機能」 <公式サイトより>
この機能を活用しながら仕事の幅も拡げたい!ということで
世界的フリーランスプラットフォーム「Upwork」で海外案件を1件以上獲得する
というチャレンジも並行して行うことにしました。
活動スケジュール
活動記録
[01] ボランティア活動 in スリランカ
活動詳細は下記note記事にまとめました↓
[02] ボランティア活動 in タイ
活動詳細は下記note記事にまとめました↓
[03] 海外企業からの仕事受注
海外企業からの仕事受注については、8月時点でシンガポールの企業さんからオンライン面談を経てデザインのお仕事を頂くことに成功しました。
画面左に仕込んでいるのがポケトークの「ライブ通訳」機能
実験総括
<実験前後の変化>
僕が実感した変化は大きく2つあります。まず何と言っても大きいのは、海外暮らしの選択肢が増えたこと!
これまでアクセスしづらかったローカルコミュニティとの接点や現地でのボランティア活動は、僕の人生の中でもとりわけ印象深い経験として残りました。
もうひとつの変化は旅先を決める際の基準が変わったことです。以前に比べて、ベタな観光スポットやご当地グルメみたいな要素よりも、ローカルの人とのコミュニケーションや彼等と取り組める体験などを重視して旅先を選ぶようになりました。
感覚的なものですが、実験前後で「旅先選びに求めるもの」がどう変化したかのイメージです
<ポケトークの価値>
次に今回の実験のキーアイテムであるポケトークについての総括です。
僕がポケトークに見出した最大の価値は共通言語の無い環境でもストレスフリーにコミュニケーションが取れるということです。
「取り出してボタンを押すだけ」という、翻訳に特化したデバイスだからこその使い勝手の良さで言葉の壁を取っ払ってくれました。
会話のテンポを極力妨げない使い勝手の良さは有難かった
また仕事の幅を拡げてくれたことにも大きな価値を感じています。
英語でのオンライン会議という、今回の企画が無ければ恐らくやっていなかったことにもチャレンジできました!
<ポケトークの伸びしろ>
ただ、すべてが完璧という訳にはいかず、使ってみて個人的に「惜しい…!」と感じる伸びしろポイントもあったので、そこも忖度なく残しておきます。
一つは「使い方に若干の工夫が必要」だと感じたことです。例えば、文の中にローカルな地名や人名が入ると意味の通らない変な訳になってしまうことが何度か発生しました。
問題は、自分は気を付けて発話するので大丈夫だとしても、初めて使う相手にその工夫を求めるのはハードルになるということ。これは言語にもよると思うので一概には言えませんが、その辺りの精度が十分に上がるとよりストレスフリーに会話が運べるかなと感じました。
多少トリッキーな訳文でも概ね意味は伝わるので基本は問題ないが、まれに意味が通らないときは恐らく認識できない固有名詞が邪魔をしているのでは…という推測
惜しいと感じたもう一つのポイントは「利用可否が通信環境に左右される」ということ。
都市部だと問題にならないのですが、今回訪れたような辺境においては「wifiが届く範囲でしか使えない」という事態や、「インプットに対して反応してくれるまでラグが発生する」という現象など、期待通りに動いてくれないこともありました…。
しかし!ポケトークはスマホのように中身のソフトウェアがアップデートされるので、これらのポイントについては、今後の改善に期待したいと思います。
◆今後の展開
① 海外でのボランティア活動について
今後も海外滞在中には、今回のようなボランティア活動の機会を積極的に作って続けていきたいと考えています。
前述の総括の中で「旅先に求める基準が変わった」と書いたように、今後は恐らくこういったボランティア活動の機会も継続的に作っていくつもりです。
観光ではアクセスできない濃い時間の過ごし方を知ることができ、旅の幅が拡がった気がします
観光ではアクセスできない濃い時間の過ごし方を知ることができ、旅の幅が拡がった気がします
もし同じような暮らし方に興味がある人がいれば、情報や旅のエピソードなんかをシェアできる仲間も作れたらいいなぁと思っています。
② 語学学習
どこへ行っても一番使う機会が多いのはやっぱり英語。そして同じメンバーで2週間も共に過ごすと、何気ない会話の中でいろんな話題に触れることになります。
現地で受け入れてくれるホストはもちろん、たまたま同じタイミングで来ているボランティアワーカー達とのご縁も貴重です
そのお陰で半年の間に英語での表現力は鍛えられた実感がありますが、逆にまだまだ勉強の必要があるなということにも気付かされました。。。
という訳で英語は継続的に学んでいくつもりです!
同時に、今回体験したような英語が通じない環境では、基本はポケトークに頼りつつ、自分の拙い現地語が通じた時はとても嬉しいし、相手も喜んでくれるので、訪れた先の現地語もできるだけ引き出しを増やすことを心がけようと思います。
③ 海外案件の受注
本実験では「とりあえず1件受注!」という甘めの目標に設定したので何とかクリアできました。が、その後は営業活動に時間が割けず、完全に放置してしまっておりました…。
しかも、受注内容は主に「ローカライズ」という、どちらかというと専門性の低い業務だったので、次は自分の持っているスキルをより活かした案件の獲得を目指して引き続き営業活動を行っていきます。